有機化学の求核置換反応(SN反応とも呼ばれます)において、反応点である炭素から離れていく基のことを「脱離基」と呼びます。
オンライン辞書で”Leaving group”を調べると「脱離基」と出てきますが、数年前に某辞書では「離脱基」と出ていました(脱離基が併記もされずに)。私が問合せフォームから、「脱離基」に訂正すべき旨の連絡をしたところ、数か月後に修正されていました。
なぜ離脱基なる言葉がその訳語として掲載されていたのか、今となっては全くの謎ですが、化学辞典で調べると、脱離基=”Leaving group”と記載されており、それは私個人の認識とも一致します。
オンライン辞書も、日進月歩で充実していっていますが、稀に誤った情報が記載されていることがあります。当業者ではない人は、気付きようがなく、そのまま誤った訳語を利用してしまうこともあり得ます。実際に、数年前には「離脱基」と訳していた人がいました。
オンライン辞書を作成する方々の努力には、敬意を払いますが、辞書という性質上、誤ったもしくは偏った情報にならぬよう専門家を含めてきちんと校閲して頂くことを所望いたします。
オンライン辞書を使用する方も、普段使用しない単語については、オンライン辞書だけを根拠とするのではなく、可能であれば専門辞書等その他の書籍を調べることを習慣化するとよいかと存じます。
以上、どなたかのお役に立てれば幸甚です。