今回の本題であり、結論
“Optionally substituted alkyl”の和訳は「必要に応じて置換されたアルキル」がお勧めです。「任意に置換されたアルキル」や「置換されていてもよいアルキル」でもよいです。
理由:
”optionally substituted”を、例えば「任意選択的に置換された」又は「場合により置換された」と訳した場合、特許請求の範囲に記載されていると、不明確であると拒絶理由を受ける可能性が高いため。
(補足)実務的には、「必要に応じて置換された」、「必要に応じて置換されている」、「任意に置換された」、「任意に置換されている」、および「置換されていてもよい」のいずれであっても、置換基の範囲が特定されていなければ、拒絶理由を受けることが多いです。
特許翻訳においては、上記のように訳し方ひとつで、将来の余計な拒絶理由を避けることや、誤訳訂正書の提出を避けることが可能です。そういう点を念頭に置いておくと、翻訳後の文章の見え方や読み方が変わってきます。
英文和訳の際に気を付けて頂きたい点は、”optionally”であれば、同一明細書内で同じ文脈での”optionally”の訳が一致するようにすることです。上記のように「optionally」に色々な訳が考えられる中で、出てくる度に異なる訳を当てていては、異なる用語になってしまいます。例えば、英文で同じoptionally substitutedなのに、一部では「必要に応じて置換されたアルキル」、他では「置換されていてもよいアルキル」と訳していては、それらが異なるアルキルと解釈されかねませんのでご注意ください。
上記では英文和訳に主眼を置きましたが、逆に言えば、和文英訳では、「必要に応じて置換された」、「必要に応じて置換されている」、「任意に置換された」、「任意に置換されている」、および「置換されていてもよい」をoptionally substitutedと訳出可能ということです。
応用として、「有していてもよい」には、例えば”optionally have”と訳出可能であり、「含んでいてもよい」は、例えば”optionally comprise”と訳出可能です。(もちろん、may haveやmay comprise を排除する意図はありません。)
以上、どなたかのお役に立てれば幸甚です。